2013-10-30

追憶「答案」_02

『 追憶』より 

三一 答案  

確か小学校の二、三年生のころ、僕らの先生は僕らの机に耳の青い藁半紙わらばんしを配り、それへ「かわいと思うもの」と「美しいと思うもの」とを書けと言った。僕は象を「かわいと思うもの」にし、雲を「美しいと思うもの」にした。それは僕には真実だった。が、僕の答案はあいにく先生には気に入らなかった。「雲などはどこが美しい? 象もただ大きいばかりじゃないか?」 先生はこうたしなめたのち、僕の答案へ×印をつけた。