2013-08-16

出生16_「芥川フキ」

1918年 恒藤恭宛書簡より 伯母彦とは、妙なセンスですね。

フキ伯母のことは、『或る阿呆の一生』の「三 家」にも書いています。

『或る阿呆の一生』
三 家  彼は或郊外の二階の部屋に寝起きしてゐた。それは地盤の緩ゆるい為に妙に傾いた二階だつた。  彼の伯母はこの二階に度たび彼と喧嘩をした。それは彼の養父母の仲裁を受けることもないことはなかつた。しかし彼は彼の伯母に誰よりも愛を感じてゐた。一生独身だつた彼の伯母はもう彼の二十歳の時にも六十に近い年よりだつた。  彼は或郊外の二階に何度も互に愛し合ふものは苦しめ合ふのかを考へたりした。その間も何か気味の悪い二階の傾きを感じながら。